会社の外で患者さんを診ている精神科医 × 会社の中から労働者を見る産業医
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はたらく人・学生のメンタルクリニック

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適応障害

適応障害を具体的な例を交えて詳しくご説明します。

適応障害のケース 患者さんの例
ケース1 急性 適応障害 不安を伴う Aさん 20歳 医療系学生

 Aさんは20歳の女性です。現在医療系の学校に通っており、1ヶ月前から病院時実習が始まりました。元々から勉強に自信がなかったのですが、実習で患者さんから指導担当者に対して「あの学生は頼りないから担当をはずして欲しい」と言っているのを聞いてしまいました。それを知ったときから、実習に行くことに対して不安が強くなり眠れなくなりました。

急性 適応障害 不安を伴う

実習のことを考えたら怖くなり心臓がドキドキし呼吸が出来ない感じになり、外出することが出来なくなったため心配した学校の先生がスクールカウンセラーを紹介しました。スクールカウンセラーから症状が強いので、一度精神科に相談に行くように言われ受診をしました。診察の結果、適応障害と診断され薬物療法と精神療法が開始されました。

急性 適応障害 不安を伴う

最初、薬物療法に抵抗のあったBさんでしたが、症状が良くなったら薬は中止できることを聞いて安心して服用することが出来ました。気持ちも落ち着いたので実習に行ってみたところ、不安は多少あったもののなんとかこなすことが出来ました。1年間の実習の間は精神科クリニックに通院しつつ過ごしましたが、実習も終わり通院をしなくても症状は出なくなりました。Aさんは今では国家試験に合格し、病院で活躍しています。

ケース2 持続性 適応障害 抑うつ気分を伴う Bさん 40歳 電機メーカー勤務

 Bさんは40歳の男性です。大学卒業後、電機メーカーのソフト開発者として就職をしました。部署のリーダー役を務めつつ複数の仕事を同時に進めているため、1つ仕事が終わっても次の仕事が待っている状況で常に一息つけるときがありません。月々の残業時間は110時間くらいで退社時間はいつも21時を超え休日出勤もしばしばあり、家族と一緒に夕食を食べることはほとんどできません。

持続性 適応障害 抑うつ気分を伴う

Bさんは現在4歳になる子どもがいて、3歳のときに幼稚園の運動会を見に行く予定だったのですが、仕事でエラーが発覚し対応のため運動会にいけないことが起こりました。その後も家庭や育児のこともなかなか関われずに悩んでいたところ出社時に「お父さん、今日も会社に帰っていくね。また来てね。」という子どもの一言を聞いて強い無力感を感じました。

その頃から、気分の落ち込み、集中力の低下、不眠を認め仕事への意欲が落ちてきました。食欲はあるのですが、半年以上経っているのに気分が晴れない日々が続き顔色が優れないため、家族に心配されて精神科クリニックを受診しました。診察の結果、「うつ病の基準は満たさないものの適応障害と言えます」と説明され医師との相談の結果、精神療法、環境調整、薬物療法が開始されました。

持続性 適応障害 抑うつ気分を伴う

会社へ相談することを心配していたBさんでしたが、幸い受診した精神科が産業・労働関係に強い精神科であったため、労働安全衛生法及び労働安全衛生規則に基づき、相談者への面接指導がどんな小さな会社でも法的義務となっていることを説明されました。Bさんは納得して会社の産業医に相談することを決められ、過重労働が問題となっていることが明らかになり部署で業務調整が行われました。今ではBさんは精神的にも身体的にも余裕が出来、今までの仕事を無理なくこなすことができるようになりました。

ケース3 急性 適応障害 素行の障害を伴う Cさん 32歳 中堅企業勤務

 Cさんは32歳の女性です。大学卒業から中堅企業に勤め、今では課長候補として社内で期待されている女性社員と言われています。一方で、仕事は忙しく自身の恋愛はうまくいかず、親にも心配され、婚期を逃すのではないかと悩んでいました。

急性 適応障害 素行の障害

去年の冬になってから部署の女性社員がたてつづけに2人妊娠が発覚し、2ヶ月前から産休に入ったためにCさんの業務負担が増え毎日23時過ぎまで残業をしないと仕事が終わらなくなりました。その頃より、何かが欲しいわけではないのに万引きをしてしまうようになりました。疲れてはいるものの、気分が落ち込んでいるわけでもなく、夜も寝ることができ、食事も取れています。

特にお金に困っているわけでもなく、とても欲しくて盗むわけでもなく、何故盗んでしまうのかわからないまま万引きを繰り返してしまい、このままではいつか大変なことになると思い、精神科に相談したところ適応障害と診断されました。環境調整と認知療法などの精神療法及び薬物療法の説明を受け治療を開始しました。一人で悩んでいた気持ちが晴れ、最終的に転職をして今では問題行為はなく新しい会社でプライベートも仕事も充実した生活を送れているようです。

診断基準の要約(DSM-5より)
A.はっきりとしたストレス因のため,ストレスが始まって3カ月以内に症状が出現。
B.症状は以下のうち少なくともどちらかの証拠がある。
  1. そのストレス因に不釣り合いな程度の症状、苦痛
  2. 社会的,職業的などの生活に重要な領域の機能に重大な障害をきたしている
C.ほかの精神疾患では説明できない。
D.その症状は正常の死別反応では説明できない。
E.ストレス因やその結果がひとたび終結すると,症状は6カ月以上持続することはない。
■該当すれば特定
  • 急性:その障害の持続が6カ月未満
  • 持続性(慢性):その障害が6カ月またはより長く続く
■いずれかを特定
  • 抑うつ気分を伴う:落ち込み,涙もろさ,または絶望感が主な症状
  • 不安を伴う:神経質,心配,過敏,または分離不安が主な症状
  • 不安と抑うつ気分の混合を伴う:抑うつと不安の組み合わせが主な症状
  • 素行の障害を伴う:素行の異常が主な症状
  • 情動と素行の障害の混合を伴う:情動的症状(例:抑うつ,不安)と素行の異常の両方が主な症状
  • 特定不能:適応障害のどの特定の病型にも分類できない不適応的な反応