摂食障害を具体的な例を交えて詳しくご説明します。
摂食障害の患者さんの例
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Aさん 19歳 女性 学生
Aさんは19歳の女性です。高校を卒業して大学に入学してから、「少しやせたい」と思って食事量を減らし始めました。最初は順調に体重が減り、周囲からも「やせたね」と言われて嬉しく感じていましたが、次第に体重が増えることへの恐怖が強くなっていきました。
食べる量をかなり減らしているのに、自分ではまだ太っているように感じてしまい、食べることに強い罪悪感を持つようになりました。その一方で、我慢が続くと急にたくさん食べてしまい、その後に「こんなに食べてしまった」と強い後悔をして、吐いたり下剤を使ったりすることも出てきました。
体重は落ち、月経も止まり、めまいやだるさが目立つようになりましたが、Aさん自身は「まだ大丈夫」「もっとやせなければ」と思っていました。家族が心配して精神科を受診しました。
受診をしたところ、摂食障害の状態であり、食事や体型への強いこだわりが生活や体調を大きく崩していると説明を受けました。食べ方の問題だけではなく、自己評価の低さや不安、感情のコントロールの難しさも関係していると話されました。身体の状態を確認しながら、少しずつ治療を進めることになりました。
最初は食事量を戻すことに強い抵抗がありましたが、少しずつ体調の回復とともに考え方にも変化がみられ、今では以前より落ち着いて生活が出来るようになってきています。
摂食障害の診断基準の要約
A.食事量の制限、過食、嘔吐、下剤使用などの食行動の異常がみられる。
B.体重や体型に対するとらわれが強く、自己評価が強く左右される。
C.低体重や栄養不良、または過食と代償行動の繰り返しによって、身体面・精神面に問題が生じている。
D.そのために生活や対人関係、学業、仕事などに支障が出ている。
摂食障害の症状は?
食事の問題だけでなく、体型への強いこだわりが中心になる
摂食障害では、食事量を極端に減らす、過食を繰り返す、食べた後に吐く、下剤を使う、過剰に運動するなどの行動がみられます。その背景には、「太るのが怖い」「やせていないと価値がない」といった強い思い込みがあることが少なくありません。
よくみられる症状としては、以下のようなものがあります。
- 食事量を極端に減らす
- 過食をしてしまう
- 嘔吐や下剤、過度な運動で体重を減らそうとする
- 体重や見た目のことが頭から離れない
- だるさ、めまい、月経不順、冷えなどの身体症状が出る
また、低栄養が進むと考え方がさらに食事や体型に偏りやすくなり、治療に抵抗を感じやすくなることがあります。
摂食障害の原因は?
- 体質、心理的な要因、家庭や学校などの環境要因が組み合わさっている。
摂食障害は、単純に「やせたい気持ち」だけで起こるものではありません。完璧主義、自己評価の低さ、不安の強さ、対人関係の悩み、評価への敏感さなど、さまざまな要因が関係します。
また、ダイエットをきっかけに始まることもありますが、その背景には生物学的ななりやすさがあると考えられています。したがって、本人の意志の弱さの問題として片づけてしまうのは適切ではありません。
摂食障害の注意点など
- やせが目立たなくても重症のことがある
- 身体的に危険な状態になることがあるので要注意
摂食障害では、体重だけを見て軽い重いを判断することは出来ません。過食や嘔吐を繰り返している場合にも、電解質異常や脱水など身体に大きな負担がかかることがあります。
また、本人は「まだ大丈夫」と思っていることが少なくありません。食事や体型のことが中心になってしまい、生活や人間関係が大きく狭くなっているときには、早めに治療につなげることが大切です。
摂食障害の治療は?
身体の安全を守りながら、食事と考え方の両方に対応する
焦らず回復を積み重ねる
- 身体管理
- 精神療法
- 薬物療法
摂食障害の治療では、まず低栄養や脱水、電解質異常などの身体的な危険がないかを確認します。必要に応じて内科的な管理や入院治療が必要になることもあります。
そのうえで、食事のとり方を整えながら、体型や体重へのとらわれ、自己評価の問題、不安や抑うつなどに対して精神療法を行います。家族との関わり方を整理することも役立つことがあります。
摂食障害では、「ちゃんと食べればすぐ治る」というものではありません。本人にとっては食べること自体が大きな不安になるため、安心しながら少しずつ回復していくことが大切です。
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