身体表現性障害を具体的な例を交えて詳しくご説明します。
身体表現性障害の患者さんの例
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Aさん 32歳 男性 会社員
Aさんは32歳の男性です。数か月前から腹痛や吐き気、動悸、めまいなどの体調不良を繰り返すようになりました。内科で検査を受けても大きな異常は見つからず、そのたびに「異常はありません」と言われていましたが、Aさん自身は「何か重大な病気が隠れているのではないか」と不安が強くなっていきました。
仕事中にも体のちょっとした違和感が気になり始めると、症状のことばかり考えてしまい集中できません。インターネットで病名を調べては怖くなり、再び病院を受診することを繰り返していました。検査で問題がないと聞いた直後は少し安心するものの、また別の症状が出ると不安が強まり、生活の多くの時間を自分の体のことに費やすようになっていました。
そのうち外出や仕事にも支障が出始め、家族にも「最近ずっと体調のことばかり考えている」と心配されて精神科を受診しました。
受診をしたところ、身体表現性障害の状態であり、身体症状そのものに加えて、その症状への不安やとらわれが強くなっていると説明を受けました。身体の病気を否定するのではなく、必要な身体面の確認をしつつ、症状へのとらわれ方を見直していく治療が必要だと話されました。
最初は「本当に心の問題なのか」と戸惑っていたAさんでしたが、少しずつ自分の不安の高まり方や、症状が悪循環で強まっていく仕組みを理解できるようになりました。今では以前より体のことばかり考える時間が減り、普段どおりに生活が出来るようになってきました。
身体表現性障害の診断基準の要約
A.身体症状があり、そのことによる苦痛が強い。
B.その症状に対して過剰な不安、心配、確認行動、受診行動などがみられる。
C.症状やそれに伴う不安が長く続き、生活に支障が出ている。
D.身体疾患の有無だけでは十分に説明できず、症状へのとらわれが大きな問題になっている。
身体表現性障害の症状は?
「症状がある」ことと「症状へのとらわれが強い」ことがポイント
身体表現性障害では、頭痛、腹痛、吐き気、めまい、動悸、しびれ、だるさなど、さまざまな身体症状がみられます。症状自体は本人にとって現実の苦痛であり、決して仮病ではありません。
ただし、この障害では症状そのものだけでなく、「何か重い病気ではないか」「また悪くなるのではないか」といった不安が非常に強くなり、そのために何度も確認したり受診したりすることが問題になります。
よくみられる特徴としては、以下のようなものがあります。
- さまざまな身体症状が繰り返し出る
- 検査で異常が少なくても安心できない
- 症状について何度も調べたり確認したりする
- 不安が高まると症状も強く感じやすい
- 仕事や学校、外出などに支障が出る
身体表現性障害の原因は?
- 身体的な感覚への敏感さ、不安の強さ、ストレスなどが組み合わさっている。
身体表現性障害では、疲労やストレス、自律神経の乱れなどによって体に違和感が出やすくなることがあります。そこに「重大な病気ではないか」という不安が重なると、さらに体の変化に注意が向き、症状がより強く感じられるようになります。
また、過去に大きな病気をした経験や、家族の病気を強く心配した経験などが影響していることもあります。このように、身体面と心理面が相互に関係しながら症状が続いていくことがあります。
身体表現性障害の注意点など
- 「異常なし」と言われても、本人の苦痛が軽いとは限らない
- 検査や受診の繰り返しが、かえって不安を強めることがある
身体表現性障害では、検査で大きな異常が見つからないことが少なくありません。しかし、それは「本人が楽をしている」「気のせいである」という意味ではありません。本人は実際に強い苦痛を感じています。
一方で、不安のたびに検査や受診を繰り返していると、一時的に安心してもまた不安が再燃しやすくなります。そのため、必要な身体的評価を行ったうえで、症状への向き合い方を整えていくことが大切です。
身体表現性障害の治療は?
身体面の確認を行いながら、症状へのとらわれを和らげる
焦らず少しずつ悪循環を減らす
- 定期的な診察
- 精神療法
- 薬物療法
治療では、まず身体の病気を必要に応じて確認しつつ、症状への不安や確認行動がどのように悪循環を作っているのかを整理していきます。毎回違う病院にかかるよりも、同じ医師のもとで継続的にみてもらうことが役立つことがあります。
精神療法では、症状への注意の向き方や、不安が高まったときの考え方を見直していきます。必要に応じて、不安や抑うつ、不眠などに対して薬物療法を行うこともあります。
症状を完全にゼロにしようと焦るよりも、症状があっても生活を大きく崩さずに過ごせることを目標にする方が、結果として安定しやすくなります。
大阪府では夜間・休日に、精神疾患を有する方やその御家族様などから、緊急時にお電話いただければ、必要に応じて精神科救急医療機関の利用についてご案内するというシステムがあります。
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