不登校(児童)を具体的な例を交えて詳しくご説明します。
不登校(児童)の患者さんの例
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Aさん 10歳 女性 小学4年生
Aさんは10歳の女の子です。3年生までは大きな問題なく登校していましたが、4年生になってから、朝になると「お腹が痛い」「気持ち悪い」と言うことが増えました。最初は月曜日だけ休むことが多かったのですが、次第に休む日が増えていきました。
小児科では大きな異常はありませんでした。ご家族は「学校に行けば大丈夫」「休み癖がつくのではないか」と心配し、何とか登校させようとしました。しかし、朝になるとAさんは泣いて動けなくなり、親子で言い争いになることが増えました。
話を聞くと、クラス替え後に仲のよい友達と離れ、グループの中でうまく話せなくなっていたことが分かりました。また、授業のスピードが速くなり、勉強についていけない不安もありました。休んでいるうちに、昼夜逆転気味になり、ますます登校が難しくなりました。
児童精神科を受診したところ、不登校は病名そのものではなく、さまざまな要因が重なって「登校したくても出来ない状態」になっていると説明されました。身体疾患、うつ病、不安症、発達特性、いじめ、学習の困難、家庭や学校の環境などを確認していく必要があると説明を受けました。
その後は、まず朝の親子の衝突を減らし、生活リズムを整えることから始めました。学校とは、担任、養護教諭、スクールカウンセラーを交えて相談し、最初は保健室で短時間過ごすことから再開しました。Aさんは少しずつ安心できる場所を増やし、学校以外の学びや人との関わりも含めて、再スタートの方法を考えていくことになりました。
不登校(児童)の定義の要約
不登校は、医学的な病名そのものではありません。何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的な要因や背景により、児童生徒が登校しない、または登校したくても出来ない状態を指します。
一般的には、年間30日以上の欠席が一つの目安とされています。ただし、医療の場では、欠席日数が30日に達していなくても、登校しぶり、朝の身体症状、強い不安、家庭内での混乱などがある場合には、早めに相談することが大切です。
不登校は「学校に行かない」という行動だけを指す言葉ではありません。その背景には、心や体の不調、学校での困りごと、家庭環境、発達特性、学習の問題、人間関係など、さまざまな要因が関わっていることがあります。
不登校(児童)の症状は?
朝の腹痛や頭痛、登校前の強い不安として出ることがあります
不登校では、「学校に行きたくない」とはっきり言うお子さんもいれば、身体症状として現れるお子さんもいます。特に小学生では、気持ちを言葉にすることが難しく、腹痛、頭痛、吐き気、だるさなどで表現されることがあります。
よくみられる状態としては、以下のようなものがあります。
- 朝になると腹痛、頭痛、吐き気が出る
- 登校時間が近づくと泣く、動けなくなる
- 夜に眠れず、朝起きられない
- 学校の話題を避ける
- 休んだ後に罪悪感や不安が強くなる
- 家では比較的元気に見える
- ゲームや動画の時間が長くなる
- イライラや親子の衝突が増える
- 友人関係や学習面への不安を抱えている
家では元気に見えるため、「本当は行けるのではないか」と思われることがあります。しかし、登校場面になると強い不安や身体症状が出るお子さんも多く、単純に怠けているとは言えません。
不登校(児童)の原因は?
- 原因は一つではなく、複数の要因が重なっていることが多い
- 身体疾患、精神疾患、発達特性、学習困難などが関係することがある
- 学校環境、友人関係、家庭環境なども大きく関わる
不登校の原因は非常に多様です。いじめや友人関係のトラブルがきっかけになることもあれば、学習についていけない不安、先生との関係、クラスの雰囲気、発達特性による集団生活の負担などが関係することもあります。
また、うつ病、不安症、分離不安症、強迫性障害、自閉症スペクトラム、ADHD、睡眠障害、起立性調節障害などが背景にある場合もあります。身体症状がある場合には、身体疾患の確認も大切です。
「原因を一つに決める」ことよりも、お子さんが何に困っているのか、どの場面で負担が強いのか、どのような支援があると動き出しやすいのかを整理することが大切です。
不登校(児童)の注意点など
- 怠けや甘えと決めつけない
- 登校だけを唯一の目標にしない
- いじめ、自傷、希死念慮、虐待などの安全確認が大切
不登校になると、ご家族は「このまま学校に行けなくなるのではないか」と強い不安を感じます。そのため、無理に登校させようとして親子の衝突が増えることがあります。しかし、本人が限界に近い状態で無理に登校させると、かえって不安や身体症状が強くなることがあります。
一方で、何もせずに長期間過ごすと、生活リズムが崩れ、外に出ることや人と関わることがさらに難しくなることもあります。大切なのは、登校するか休むかの二択ではなく、その子にとって今できる社会参加や学びの形を考えることです。
また、不登校の背景に、いじめ、自傷行為、死にたい気持ち、家庭内の深刻な問題が隠れている場合もあります。安全に関わるサインがある場合は、早急な対応が必要です。
不登校(児童)の治療は?
登校を急がせるだけではなく
生活、心身の状態、環境を整えていく
- 身体面・精神面の評価
- 生活リズムの調整
- ご家族への支援
- 学校との連携
- 環境調整
- 必要に応じた精神療法・薬物療法
不登校への対応では、まずお子さんの心身の状態を確認します。腹痛、頭痛、めまい、睡眠の乱れなどがある場合には、身体疾患の確認が必要です。同時に、うつ病、不安症、発達特性、強迫症状、トラウマ、いじめなどの有無も整理していきます。
次に、生活リズムを整えます。いきなり毎日登校を目標にするのではなく、起床時間、食事、睡眠、外出、人との関わりなどを少しずつ整えていきます。家庭内で安心して過ごせることも大切ですが、昼夜逆転が強くなる場合には、段階的な調整が必要です。
学校との連携も重要です。保健室登校、別室登校、短時間登校、オンライン教材、教育支援センター、フリースクールなど、その子に合った学びや居場所を検討します。学校に戻ることだけを唯一の目標にするのではなく、最終的にはお子さんが社会的に自立していけることを目指します。
不安や抑うつ、不眠、強いこだわりなどがある場合には、精神療法や薬物療法を併用することがあります。不登校は家族だけで抱え込むと非常に負担が大きくなります。医療機関、学校、相談機関が連携しながら、焦らず長い目で支援していくことが大切です。
不登校の原因が精神疾患にある場合は対応が医療機関で相談可能ですが、
「勉強が嫌いだ」のように精神疾患ではなく好き嫌いや合う合わないのお話は医療機関での対応は困難です。
しかし、背景に発達障害やうつ病などの精神疾患が隠されている可能性がありますので、
迷われた場合は放置せず医療機関に相談されてください。
大阪府では夜間・休日に、精神疾患を有する方やその御家族様などから、緊急時にお電話いただければ、必要に応じて精神科救急医療機関の利用についてご案内するというシステムがあります。
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