はたらく人・学生のメンタルクリニック

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症状・障害

分離不安症(児童)

分離不安症(児童)を具体的な例を交えて詳しくご説明します。

分離不安症(児童)の患者さんの例

  • Aさん 7歳 女性 小学1年生

    Aさんは7歳の女の子です。もともと少し慎重な性格でしたが、幼稚園には大きな問題なく通っていました。小学校に入学してしばらくしてから、朝になると「お腹が痛い」「ママと離れたくない」と泣くことが増えました。

    最初は登校しぶりかと思われましたが、登校前になると強い不安が出て、玄関で泣き叫んでしまうこともありました。学校に着いてもお母さんから離れられず、先生に引き離されると「ママが事故にあったらどうしよう」「もう会えなくなったらどうしよう」と強く心配していました。

    家では比較的元気に過ごせますが、お母さんが別の部屋に行くとついていき、一人で寝ることも出来なくなりました。お母さんが少し外出するだけでも何度も電話をしたがり、夜には悪い夢を見ることもありました。ご家族も対応に困り、児童精神科を受診しました。

    診察では、年齢に比べて強い分離への不安があり、登校や睡眠にも支障が出ていたため、分離不安症が考えられました。Aさんには、「お母さんが大事だから不安になるのは自然なことだけれど、その不安が大きくなりすぎて生活がつらくなっている」と説明しました。

    その後は、登校時の別れを長引かせすぎないこと、学校の中で安心できる先生を決めること、短い時間から離れる練習をすること、出来たことを確認して自信にすることを進めました。少しずつ「離れてもまた会える」という経験を重ねることで、Aさんは学校で過ごせる時間が増えていきました。

分離不安症(児童)の診断基準の要約

A.愛着のある人、たとえば親や養育者から離れることについて、年齢に不相応な強い不安や恐怖がみられます。

以下のような症状がみられます。

  1. 親と離れるときに強い苦痛を示す
  2. 親に何か悪いことが起こるのではないかと過剰に心配する
  3. 自分が迷子になる、誘拐される、事故にあうなどを心配する
  4. 親と離れるために学校や外出を嫌がる
  5. 一人でいることを強く怖がる
  6. 一人で寝ることを嫌がる
  7. 分離に関する悪夢を見る
  8. 分離が予想されると頭痛、腹痛、吐き気などが出る

B.子どもや青年では、この状態が少なくとも4週間以上続いています。

C.そのために、学校生活、家庭生活、友人関係などに支障が出ています。

D.自閉症スペクトラム、パニック症、広場恐怖、身体疾患など、他の状態だけでは十分に説明できません。

分離不安症(児童)の症状は?

「親と離れることが怖い」という不安が
登校しぶりや身体症状として出ることがあります

分離不安は、小さなお子さんでは自然にみられることがあります。しかし、年齢に比べて不安が強く、学校や家庭生活に大きな支障が出る場合には、分離不安症として治療の対象になることがあります。

よくみられる症状としては、以下のようなものがあります。

  • 登校前に泣き叫ぶ、玄関から動けない
  • 親と離れると強い不安やパニックのような状態になる
  • 親が事故にあう、病気になる、死んでしまうのではないかと心配する
  • 一人で寝られない
  • 家の中でも親の近くにいたがる
  • 頭痛、腹痛、吐き気などが出る
  • 休日明けや長期休暇明けに悪化しやすい

親がそばにいると普通に過ごせるため、「本当に困っているのか」と誤解されることがあります。しかし、親と離れる場面では本人にとって非常に強い苦痛があり、無理やり引き離すだけでは悪化することもあります。

分離不安症(児童)の原因は?

分離不安症(児童)の 原因は?

  • 不安になりやすい体質や気質が関係することがある
  • 転校、入学、病気、家族の出来事などがきっかけになることがある
  • 親子の不安が互いに強まる悪循環が起こることがある

分離不安症は、親に甘えているだけ、わがままを言っているだけ、というものではありません。不安を感じやすい気質や、生活上のストレス、環境の変化などが重なることで症状が強くなることがあります。

また、お子さんが強く不安になると、親も心配になります。親が心配して対応するほど、お子さんも「やはり離れるのは危ないことなのだ」と感じてしまい、不安が強まることがあります。これは親が悪いという意味ではなく、不安が不安を呼ぶ悪循環が起こりやすいということです。

分離不安症(児童)の注意点など

  • 正常な分離不安との違いを考える必要がある
  • 無理やり引き離すだけでは悪化することがある
  • 逆に、完全に避け続けると不安が固定されることがある

分離不安症では、「無理やり学校へ連れていけば慣れる」と考えると、本人の恐怖が強まり、登校場面がさらに苦痛になることがあります。一方で、不安だからといって全ての分離を避け続けると、離れる経験が出来ず、不安が長引いてしまうこともあります。

大切なのは、本人の不安を否定せずに受け止めながら、少しずつ「離れても大丈夫だった」という経験を積み重ねることです。

また、分離不安症は不登校の形で現れることがあります。学校の先生、保護者、医療機関が連携し、お子さんが安心できる方法を考えることが大切です。

分離不安症(児童)の治療は?

行動療法と家族支援を中心に
少しずつ離れる練習を行います

  • 心理教育
  • 行動療法
  • 家族への支援
  • 学校との連携
  • 必要に応じた薬物療法

治療では、まず分離不安症がどのような状態なのかを、お子さんとご家族に説明します。不安は本人の甘えではなく、強くなりすぎると生活を妨げる症状になることを理解することが大切です。

行動療法では、いきなり長時間離れるのではなく、短い時間から段階的に離れる練習を行います。例えば、教室の前まで親が付き添う、次に玄関までにする、次に校門までにする、といったように、少しずつ成功体験を増やします。

学校では、安心できる先生や場所を決めることが役立つ場合があります。登校時の別れを長引かせすぎず、短く落ち着いた形にすることも大切です。

不安が非常に強い場合や、うつ症状、不眠、強い身体症状を伴う場合には、薬物療法を検討することもあります。薬はあくまで不安を軽くし、行動療法に取り組みやすくするための補助として考えます。

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